独身者の幸福はわかりづらい

現在の派遣先で働くようになってから、自分の存在があまりにマイノリティで、職場では完全なるアウェイ状態だということを、痛感する日々だ。

↑以前も書いたように、現在の派遣先は、若手以外は男女共に既婚・子持ちばかりだ。
100名近くいるフロアで、派遣社員は私ひとりだけ。若かったならまだよかった(?)が、40代中年独身派遣社員である私は、すでに手遅れ・・っ!

つける薬なし!

勝手にひとりで自分のステイタスに劣等感を抱き、時折、落ち込んだりするわけなんだ。
嫉妬などという感情とはちょっと違っていて、「私の知らない”幸福”を知っている人たちなんだな・・」という感情なんだ。うまく説明できないけど。

正社員の方々は、そんな私にたいして特に何か言ってきたりはしない。まあ、単純に興味ないというのがあるとは思うのだが、興味本位でさえ、そういったプライベートなことに立ち入ってくるタイプの方がほとんどいないことは幸いだった。

就業しはじめたばかりの頃は、ときどき個人的なことも聞かれたりしたが、半年以上が過ぎた現在、ほぼ誰からもそういったことを聞かれない。

女性の正社員の方々と仕事を一部共有しているのだが、彼女たちとも業務上の会話がほとんどで、時折世間話が混じる程度だ。

自分のステイタスがマイノリティのため(派遣・中年・独身)、あまり個人的なことを話したくないなあ・・と常々思っているので、放っておいてもらえるのはありがたい一方で、きっと話したところで理解されづらい自分の属性に若干の虚しさと気後れがある。

割り切って働いてはいるが、時折、わかりやすい幸福のカードを持っていたらなあ・・と思うことがある自分に気づく。

わかりやすい幸せ。

そう。派遣先の正社員たちのように、しかるべきときに結婚し、しかるべきときに子供をもうけ、しかるべき暮らしをしている人々。

彼らは、いわゆる幸福と呼んでいいカードを何枚も持っている。

それらのカードを所持しているだけで、外側からは、他者からは、「幸福」と認定してもらえるような種類のもの。

説明不要の幸福。

かたや独身者の幸福って説明しづらい。

私は、自分のことをマイノリティな人間で、なかなかこの世で生きづらいと感じている一方で、決してそんな自分を不幸などと思っていない。

そう、決して不幸などと思わない。

だけれども、それを説明するのは難しい。

そうなんだよ、独身者の幸福はわかりづらい。

なぜか枕詞のように「結婚していないけど」幸せ。「子供がいないけど」幸せ。「薄給だけど」幸せ・・といったように、〜だけど、とついてしまうように思うんだ。

それってつまりは、幸福の前提に結婚や子供や正社員という身分が必要ってことになる。世間はそのように思っているということになる。

だから、独身者の幸福はわかりづらい。わかりやすい幸福を示すカードがないのだから。一体何をもって独身の彼、彼女たちを幸福とみなせるのか?と。

お金があればある程度は幸福かもしれない。でも、派遣で独身で中年である私が、決して不幸ではないと思っていることは、あまりにわかりづらい(だって、派遣で独身で中年というステイタスはどう考えても幸福なカードじゃないからね・・)

あ〜、わかりづらい。

独身者の幸福は、きっと想像以上にバリエーションに溢れている。あなたの幸福も、私の幸福も、たぶんまったく違ったかたちだ。

それでも、見栄でも虚勢でもなく、ただただじんわりと、ひょとしたら「幸福」かもしれないと感じる瞬間があることは確かなんだ。

この感覚をうまく説明できない。きっと持てる者たちの幸福とはあまりにかけ離れているのだろうなあ。

ただ・・私は自分のことを、決して不幸ではないしそこそこ幸せかなとすら思うのだが、現状を迷うことなく「幸福」だと言い切ることなんかできないし、満足などしていない。
私が知らない種類の未知の幸福がきっとどこかにあるのかもしれないという考えは、常にある。
(自分の場合、幸福の閾値が低すぎるのかな?と感じなくはない・・)

だからこそ、現在の派遣先で、いわゆる幸福のカードを何枚も持っている正社員の方々を目の当たりにするにつけ、ちょっとした劣等感に苛まれるのだと思う。

他者と比べても仕方がないのに、それでも、わかりやすい幸福のカードを持っていて実際に幸福であるに違いない人たちを、ちょっと羨んでいる自分がいることも確かなんだ。

(幸福のカードを持っているからといって、実際に幸福かどうかはご本人たちしかわからないことだ。でも、私からみて、幸福のカードは、強烈に揺るぎない幸福を示すもののように思える・・)

きっとこういった感情は、これからもずっと続くのかもしれないな・・。それとも、もっと年を重ねたら、消えていく感情なのかなあ。

わからない。

考える日々,40代,おひとりさま

Posted by しがらみん