「派遣だから、非正規だから仕方がない」だなんて言っちゃいけない・思っちゃいけない【コロナによる身分格差】

コロナウイルスによって、身分格差がより鮮烈に浮き彫りになった気がする。以前の記事でも少し触れた。

緊急事態宣言が発令されて、身分格差はより鮮明になってきているように思う。

たとえば、大手企業の正社員ならば、安全・安心のテレワーク(在宅勤務)で、自宅待機であっても、その間の給与は100%補償される(出社せざるをえない業種・職種はのぞく)

ところが、非正規の派遣社員だと、コロナ感染の恐怖に怯えながら、出社せざるをえないということも多いと思う。
在宅勤務している正社員から、出社しなくてはできない業務を指示されて、負担が増大している派遣社員も少なからずいるだろう。なぜ非正規が正社員の防波堤にならねばならない?

私自身は、以前の記事でも書いた通り、緊急事態宣言が発令されてからは自宅待機(ときどきテレワーク)となった。

自宅待機(ときどきテレワーク)という指示を出してくれた派遣先には、ありがたいと感じている。
ただ、その一方で、派遣社員で3ヶ月ごとに契約を更新する私は、おそらく次の更新はない可能性が高い。不況になったとき、調整弁である派遣社員が真っ先に切られていくことは、重々承知で働いている。
正社員ならば、とりあえず切られる心配もなく生き延びられるところ、非正規だと、より明日が見えない状況に陥ることになる。わかっちゃいる。わかった上で派遣で働いている。

だけど、ここで言いたい。

「派遣だから、非正規だから仕方ない」だなんて思っちゃいけない。口に出しちゃいけない。

ときどき、「自分は非正規だし、休業になって給与が補償されなくても仕方がない」「(非正規でしか働けない)能力の低い自分が悪い」「非正規で働いてきてしまったんだし、ある程度は自己責任」などと言って、自分を下げて、この理不尽で不条理な状況に納得しようとしてしまっている人たちがいる。

彼らに言いたい。

そんなことはまったくない。

だって、あなたは、ちゃんと仕事をやってきたんでしょう?もしかしたら隣にいる正社員の尻拭いして、面倒臭い仕事を引き受けてきたんでしょう?
なにより生計を立てるために、薄給でも日々働いてきたんでしょう?

世界全体、国全体の未曾有の危機に、「非正規だから仕方がない(死んでも構わない)」なんてことはあってはいけない。

当然、休業補償は、全額は無理だとしても6割は補償されなくてはならないと思う。「非正規だから、派遣で働いているから補償されなくても仕方がない」だなんて、絶対思っちゃいけない。

ところが、この国は自己責任の国だ。派遣切りや雇い止めにあったり、収入が途絶えて苦しむ人たちに言い放つ。

「だって、そういう働き方を選んだのはあなただよね?補償されなくたって、文句は言えないよね?」と。

でも、それは違う。

非正規労働者は、道楽で働いているわけではない。生計を立てるためだ。暮らしていくために働いている。
また、資格が必要で専門的な知識を要する仕事であるにもかかわらず、安く買い叩かれている職種もたくさんある。いわゆる「やりがい搾取」ってやつだ。
あらゆる業種・職種に非正規を蔓延させて、安く働かせてきた国の施策に問題があったのではないか?

非正規労働者がいなくては、経済はまわらないほどに、この国は非正規だらけなんだよ。あらゆる業種・職種に存在している。私たちの利用するあらゆるサービスは、非正規なくしては成り立たない。

だから、「非正規だから仕方がない」だなんて思っちゃいけない。生活を継続できる補償が必要だ。「ないがしろにされる身分」があってはならない。

綺麗事と言われてしまうのは重々承知だが、身分に関係なく、苦しい人たちは救われなきゃいけない。(たとえば、「正社員」であっても、零細やブラック企業勤務だと過酷な状況の人たちも少なくない。コロナによって不当な扱いを受けている正社員の方々も存在するだろう。そういった人たちも、ちゃんと補償されるべきだ)

身分によって救われない命があってはいけない。コロナによって苦境に陥った人たちは、国がお金を投じて救わなきゃいけない。

しかし、この国は布マスク2枚だ。国民の命よりも経済優先だ。日々不安と憤りとやるせなさを感じている。

↑「自己責任論」について、私なりに思うところを書いた記事も併せて読んでいただけると幸いだ。

派遣社員,社会・労働問題

Posted by しがらみん