過去の記憶から想像した未来とは違う、本当の未来への希望があるから【NHKドラマ『徒歩7分』】
『徒歩7分』というNHKのドラマがあって、放映当時面白そうだなと感じて録画しておいたのだけど、結局観ないまま、数年の時が流れた。
2015年のドラマ。観よう観ようと思いながら、6年も経過していたんだなあ。失業中で時間があるので、全話観た。
田中麗奈主演、脇を固めるのは田中圭や福士誠治、石野真子。菜葉菜という俳優さんがとても個性的でいい味出しててよかった。極めて少ない俳優陣で物語は紡がれていく。
田中麗奈演じる依子がさ、32歳、無職。そんな状態で一人暮らしをはじめるところからスタートするんだけど、依子がかつての自分の姿と重なる場面とかあったなあ・・。32歳って、私はまだ一人暮らしをしていて、この先どうしようかともがいていた時期だ。
依子が、ひとりでアパートでゴロゴロしながらクッキー食べてたり、お弁当食べてたりしている感じが、既視感?
そういえば、私も都内のアパートで、無職になっちゃったとき、こんな感じでダッラダラゴッロゴロしていたなあ・・って、思い出して、妙な懐かしさに包まれたんだ。
やっぱり一人暮らしなら、壁に耳当てて隣人の物音聞くよね?
あと、隣人の咲江さんや田中靖夫と少しずつ距離が近くなってきて、何気ない会話の数々にハッとさせられたり笑ったり、じんわりいいドラマだった。
それで、依子と咲江さんの会話で、咲江さんの言葉に心動かされた。
「私たちがみてる未来ってさあ、過去でできてんだよ、きっと。それってにせものだと思うよ」
「未来のことを想像するときの材料って、結局、過去の記憶とかでしょ。それって本当の未来とは違うんじゃないかって最近思ってて」
「過去から推測した未来だから、なんかつまんないんだよね。本当の未来って、やっぱ未来でできてんだよ」
そうだなあ、そういえば私も、今までこんな感じできたから、その地続きの、過去の経験や味わった感情でしか未来を想像できずにいるなあ。
きっとこの先も、また働いても薄給でチビチビ貯金して老後に備えて、緩急のない日々を過ごすのかな?もう特に何もないただただ生きるために生きてるみたいな暮らしが続くのかな?っていう生ぬるい絶望。過去の体験や記憶から、そういう未来しか想像できずにいる今。
でも、ひょっとしたら、もしかしたら、そんな想像に足るような未来とはまったく違う、別物の、そんな未来があるのかもしれない。
その未来のために、今、動き出そうっていうことなんだって思った。
ちょっとラストの解釈はわかりづらかったけど、依子は一歩踏み出したってことには間違いないね?
私は依子よりも10歳も上で、40代になってもまだまだ悪あがきしてもがき続けてるけど、それでも、想像外の未来に向かって、踏み出さなけりゃいけないよなって思ったんだ。
田中麗奈演じる依子の、ちょっと微妙にズレてて、でも意味不明なところで芯が通ってて、正直で不器用で感覚がおかしくて、愛おしいキャラクターに包まれた。
今、先行きが見えず迷ったり悩んだりする中で、静かに背中を押してくれるような、心に染み入るようなドラマだったな・・。毎回最後に流れる歌もすごくいい。
私は録画しておいたのを観たけど、現在、U-NEXTで配信されていて観られるようだ↓
※本ページの情報は2021年7月時点のものです。最新の配信状況はU-NEXTサイトにてご確認ください。
霧の中で手探りしているような状況の人たちなら、何か響くものがあるドラマだと思った。そこに希望を感じた。