もう一度一人暮らしをしたいと思うときがある
以前も書いたことがあるが、私は20代〜30代までの10年間、都内で一人暮らしをしていた。いくつかの理由により実家に戻ることに決めて、今日に至る。
何気ない日々を過ごしていると、ああ、また一人暮らしをしたい、実家を出たいと思うことがある。
いや?「思うことがある」というよりは、「よく思っている」といってもいいだろう。だが、もう一度実家を出て一人暮らしをすることは、現実的には難しいと感じている。
その理由は、経済的な問題だ。
かつて若かった頃は、日々を生きることに精一杯で、あまり貯金や老後のことなど考えていなかったが、40代となり人生の後半に突入した現在、非正規の低収入で一人暮らしを続けていくことは難しいと考えている。
家賃や一人暮らしを維持するための諸々の支出を減らすには、実家に戻るという選択が現実的だった。実家に戻ってからは、そこそこ貯蓄にまわせるようになった。
再び一人暮らしをはじめるとなると、また老後資金を貯められない生活に戻ってしまう。刹那的な毎日に逆戻りしてしまう。
おそらく、本当に心からまた一人暮らしをしたいと思うのなら、私は、即刻実家出て行くだろう。
では、なぜそうしないのか?
答えは、わかっている。40代に突入し、若かった頃のようなエネルギーがない。これからまた部屋を探し契約し家具などを揃え、空間を作っていく元気がない。なによりお金がない。
でも、そんなのはただの言い訳で、本当に出て行きたいと願うなら、ぐだぐだ言わず出て行くのだ。
若い頃の自分は「絶対一人暮らしをしたい、実家を出たい」と思っていたので、先のことなど考えず自ら部屋を探してあらゆる手続きをして一人暮らしをはじめた。お金は最低限あればそれでいいと思っていた。
若さゆえだったと思うし、心から実家を出たいと思っていたから、そのように行動した。
だから、また一人暮らししたいと思いながらも実家を出ない今の自分は、一人暮らしの自由よりも実家で暮らす生活の安定を選んだのだと思う。
もし、安定した一人暮らしを維持できるほどの十分な収入があったなら、迷わず一人暮らしを選ぶだろう。
でも、残念ながら今の自分にはそれがない。そしてこれから先もなさそうだ。
実家で暮らしていると、ときどき息苦しさを感じる。すべてを投げ出したくなることがある。
でも、再び一人暮らししない(できない)という選択をするのなら、実家で暮らす息苦しさには目を瞑らねばならない。それがいやなら、即刻出て行くしかない。
実家に戻りたくても、家庭環境など様々な事情から帰れない人たちもたくさんいるかと思う。
また、私の場合、実家が関東圏で都内にギリギリ通えると思ったので、戻ることを決断した。もし、実家が遠く、戻ったとしても仕事(求人)がないような地域だったとしたら、う〜ん、戻る選択をできなかった気がする。
そういった点では、私は「実家に帰る」という選択肢があったことは、ありがたかったと感じる一方で、本当にこれでよかったか、あのとき、もうちょっと踏ん張って一人暮らしを続けていれば、今もっと違っていたか?と、変えられない過去についてあれこれ思い巡らせてしまうこともある。
どうしようもないね。いくつもの選択肢があって、それでも今を正解にするために、これからも迷いながら悩みながら、やっていくしかないんだろうけどね。