近所のケーキ店が閉店した理由
1、2年前くらいだったかな?
近所を歩いていたら、新規オープンして間もないだろうケーキ店をみつけた。センスのよさそうな雰囲気で、通りかかるたびに、「今度買ってみよう」と思っていた。
それから少し経って、実際ケーキ店に入ってみてケーキをいくつか買った。ショーケースをみて驚いたのが、とても独創的で個性的で形や彩りが美しいケーキが並んでいたことだ。見たことないケーキがいっぱいあった。
女性の店員さんのうしろで、パティシエらしき男性が寡黙に少しソワソワするような雰囲気で出来上がったケーキを並べていたことが印象に残っていた。
職人気質のパティシエが作るこだわりのケーキ店って感じで、好印象を持った。
ケーキの味も美味しかった。
それからときどきそのケーキ店の前を通ると、いつも人で賑わっていたので、繁盛しているんだなと思っていた。
それで、少し前かな?その店の近くを通ると、定休日なのか店の明かりがなかった。そのときは特に気にせず通りすぎた。
ついこの間通ったときも、やっぱり店は閉まっていて、「ひょっとして閉店してしまったか?」と店の扉まで近づいて張り紙をみると「カミングスーン」の文字が。
どうやらケーキ店はいつの間にか閉店し、次のお店が近々オープンするようだった。
それで、解せなかった。開店してまだ年数も浅いが、お客さんで賑わっていたし、固定客もいたようだったのに、なぜ閉店してしまったんだろう?
あの寡黙で職人って感じの店主さんの姿が思い浮かんだ。なんで閉店しちゃったんだろう?
気になって調べてみたところ、閉店の理由が思いがけないものだった。
店主のパティシエは急病で亡くなっていた。
そうか、そうだよな、あの唯一無二のケーキを作る店主が亡くなってしまったのなら、ケーキ店は続けられない。閉店するしかない。
おそらく念願の自分のお店だったのだと思う。それが自らの死によって終わる。
すごくすごく残念だと思った。悲しかった。
たった一度だけ見かけた職人気質な寡黙なパティシエの姿が脳裏に浮かんでは消えた。まだ50代くらいだったのではないか?
とても心がザワザワした。
死からは逃れられないし、いつやってくるかわからない。
それで、ケーキ店の店主さんのことをひとしきり考えたあと、やっぱり最後には「自分は?」という思いに至る。
死はいつやってくるかわからない。それなのにこんな日々を過ごしていていいのか?と。
わからないからこそ、こんな日々を続けるのか?
どっちなんだ、と。





















