職場のランチタイム・新たなる訪問者その1
派遣先のランチグループを抜けるまでの1年8ヶ月に及ぶ壮絶な日々を記した地獄のランチタイム。
あれから約半年。
現在は、完全にランチメンバーから離脱して、自席にてひとりの昼食を謳歌している。やっぱりひとりランチ最高だな、と。
そんな日々に、新たなる訪問者がやってきた。題して『職場のランチタイム・新たなる訪問者』
このひとは一体!?ランチタイムの新たなる訪問者
同じチームの派遣メンバーとのランチグループを離脱し、自席で仕出し弁当(450円)を食べる日々は、精神衛生上とてもよかった。
オフィス内を見回すと、自席でランチをとっているひとたちはけっこういて、その誰もが思い思いに昼休憩を過ごしている。
そんな中、ランチタイムに、私の席へ新たなる訪問者・招かれざる客がやってくるようになったのだ。その人物は、同じ職場の派遣社員で、チームはまったく別、ただし大きな括りでのエリアは一緒なので、ときどきオフィス内ですれ違うと挨拶をする程度の関係だった。
彼女を柏さん(仮名)とする。
あるとき、エレベーターホールで柏さんと遭遇すると、突然、彼女のほうから私に話しかけてきた。住んでいる場所、利用している鉄道などの話であったが、そのとき、妙な違和感があったのを覚えている。
それは決して不快な種類のものではなかったが、「ん?なんだかこのひと、会話が不思議だな・・妙なテンションだな・・」といった感じだ。
その数日後、柏さんの利用している鉄道が通勤時間帯に人身事故で運転見合わせになった。昼休憩に入るタイミングで、偶然、柏さんとすれ違ったので、ただ単に世間話程度の気持ちで「△△線、今朝、人身事故で大変だったみたいですね、大丈夫でしたか?」と話しかけた。
すると、柏さんは、突然、興奮状態になり、「そうなんです!大変だったんです!」といいながら、「ここいいですか?」と、私の隣の席に座ってしまったのだ。
そして、手にしていた袋からパンをとり出し、それを食べながら、延々と話し続ける柏さん。
突然のことに頭が混乱したが、きっと今朝の人身事故で大変だったから誰かに話したかったのかな?と、「そうなんですねー」など相づちをうちながら、聞いていた。
さまざまな話をされたのだが、やはりどうも会話のテンションが不思議だった。そのまま、ずっと私の席の隣で柏さんは話し続けて、その日のランチタイムは終了してしまった。
一方的にやってくる来訪者、断る術が見つからない
すると、次の日も、ランチタイムになると、柏さんは私の席にやってきた。
「しがらみんさん、ここいいですか?」と、有無を言わさず、私の隣の席に座ってしまうのである。そして、その次の日も、やってきた。私がお弁当を広げて食べているところに柏さんはやってきて隣に座ってしまうので、うまく断る術がなかった。
たとえば、「今日、一緒にお昼どうですか?」とあらかじめ声をかけられたりしたら断る方法もあるが、すでに自席でお弁当を食べはじめているところにやってきて、隣に座られてしまうので、移動することもできない。
職場のランチタイムはひとりでゆっくり過ごしたい
おそらく柏さんは変人だと思う。本物の変人って自分のことを「変人」だと認識していない。
私は、そんな柏さんに対して、不思議と嫌な感じはしなかった。会話も支離滅裂でよくわからない専門的な話を延々とされたりもするのだが、ちょっと面白いなと感じなくもなかった。
とはいっても、私は基本、ランチはひとりで考えごとしたり無になったり適当にスマホいじったりして過ごしたいのである。ときどきならいいが、毎日一方的にこられると気が滅入る。でも、うまく断る方法が見つからなかった。
柏さんからは、患っている病気の話もされてしまったので、なんとなく無下にできない、という気持ちもあった。私にも、その病気の辛さがわかったからだ(柏さんほど重篤ではないが、私自身もずっと悩み続けている病気だ)当事者しかわからない苦しみがあることを理解できたゆえ、ランチタイムにやってくる柏さんを拒否することはなかなかできなかった。
あー、やっとの思いで同じチームの派遣メンバーランチから抜けて、ひとりの自由を取り戻したのに、たった数ヶ月でまたランチ問題で悩むはめになるとは・・。
柏さんのことは嫌いではない。
柏さんとほどよい距離をとりながら、ランチを断る方法ないかなあ。そんなことを考え続けていた。
続く↓